一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
短時間の出来事に頭が追いつかない。
ダンボールの後ろに2人の身を隠すために、私と琥珀くんの距離はほぼゼロ。
触れ合っている体がとても熱い。
「あれー?確かにここに入っていった気がするんだけど……」
隣の図書室のドアが開く音がして、同時に女の子たちの声が聞こえてきた。
「やっぱり見間違いじゃない?天地くんがこんなところ来るわけないじゃん?」
「えー、絶対あの姿は天地くんだよ!」
聞こえる会話を整理すると、要するに2人の女の子は琥珀くんの姿を追ってここまで来たらしい。
そのうち1人の子は、琥珀くんのことが好きなんだろうか。
琥珀くんは怖がられている一方で、イケメンだと噂もされている。
近づきにくいからと言ってみんなが琥珀くんのことを嫌っているわけじゃない。
むしろこうして好きな人もいる。
「……っ」
当たり前の話なのに、知っていたはずだったのに。
何故か胸がチクッと痛んだ。