一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「ねぇ、あっちの部屋のドア開いてない?」
……やばい。
あっちというのはきっとここの図書準備室のドア。
図書室にはここの部屋以外、他のドアはなかったはずだから。
「絶対声出すなよ」
琥珀くんから耳打ちされる。
それがくすぐったくて、耳が燃えるように熱くなる。
心臓の音がうるさい。
声を出すことを、呼吸をする音を、体のこすれる音を、全て堪えていてもドキドキという大きな音は抑えることができず、今にも聞こえてしまいそう。
窓が無く、真っ暗な図書準備室。
ドアの隙間からこぼれる光。
そこに映る2人の人影。
それ以上中に来てしまったら、私たちが居ることがバレてしまう。
1人ならいいのだけれど、琥珀くんと一緒に居ることがバレてしまったら、どんな噂を立てられるかわからない。
お願い。
どうかそのまま気づかずに離れて。