私の愛は···幻


「これだけで良いのか?
    身体は、大丈夫か?」

「うん。ごめんね。」

「バーカっ。」
と、言うと温斗( はると )は
三個ある箱を運んでくれた。

私は、一度振り向き部屋を見渡し
忘れ物がないかを確認して
携帯を初期化して
婚約指輪と結婚指輪を
各々の箱にしまい
リビングのテーブルへ置く


戻ってきた温斗が
私からキャリアケースを取り
歩き始めて玄関に着くと
私を振り返り
「行くぞ。」
と、言う温斗に
「うん。」
と、頷くと
「忘れ物は···ないな。」
と、言うから
笑ってしまう······

温斗は、私の頭をコツンと
小突くと玄関をでた。

私は、鍵を締めてから
  鍵をポストにいれる。


 ❛ カァシャーン ❜


私は、三回目の結婚記念日を
     迎えた翌日に家を出た。
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