私の愛は···幻
🔟

🎹温斗Side


ウォルトン家のプライベートジェットで
急ぎアメリカへと戻る。

病院に付き病室に入ると
おばあさまが天音のベッドの横に
座り心配そうに天音を見ていた。

『おばあさま、只今戻りました。』
『温斗、おかえり。
疲れたでしょう、ありがとう。』
『一応、全て終わりました。
細かい事は、アルフレッド弁護士が
伯祖父様に報告はされると』
『ミロお兄様には、
私からも連絡入れます。』
『天音は、変わりないですか』
『天音は、戻りたくないのだろうね?
私が、結婚を反対していたら
天音は、こんな思いをしなかったのに。
私の落ち度です。
あの堂基 泰人は、
息子の嫁は副島の娘と
あの父親と勝手に決めていた。
だから、天音に興味もなかった
あの息子もそれを改善しようとも
しなかったのに』
『おばあさまのせいでは
ありません。
天音は、今、少し休んでるだけですよ。』
と、言う温斗に
『温斗は、優しいね。』
と、言いながら琴は、
寺田さんが迎えにきて帰って行った。

『なぁ、天音。
目覚めるのは、辛いか?嫌か?
お前の大好きな、おばあさまが
心を痛めてるぞ。
俺も、お前にはずっと
笑って生きていて欲しい。
それは、叔父さんや叔母さんの
願いでもある。』
天音の手をさすりながら
温斗は、天音に伝えていた。

温斗は、先生と話して
天音をおばあさまの自宅へ
連れて帰る事にした。
おばあさまの専従医の
ルーカス先生やベネット先生が
いるから。


温斗が頭をいためる事が······

あいつに天音の事が知れた。
まあ、ばれるのは時間の問題だと
思っていたが·····
はぁっ······

あいつと俺と天音は、
同い年の幼なじみ。

あいつは、小さい頃から
ピアノで飛び回っていた。
あいつの両親も音楽家で
世界中を回っていた。

天音のフランスの交響楽団に
入団を一番喜んで楽しみにしていたのも
あいつだ。

俺の両親の葬儀には
少しだけ顔をだしてくれたが
日本へは行けなかった。

あいつが動くのは無理だったから
あいつの悲壮な顔は
忘れられない。

天音の結婚が決まった時は
あれに荒れ、音楽の世界から
消えてなくなるのでは
ないかという程の騒ぎになった。

天音は、何も知らない
まして、あいつが
天音の事を、
ずっと想っていることさえ
しらない。

あいつは、天音以外には
計算高く自信に満ちているくせに
天音の事になると
途端にヘタレになる。

そんなあいつが
『天音にピアノを聴かせてやりたい。
そしたら、必ず天音は目を覚ます。』
と、言うから
俺もそれに賭けたいと
何故だか思った。
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