私の愛は···幻
1️⃣6️⃣

🎹健人


アメリカについた。

飛鳥さんから厳しく逞しく
育てられている
経営をやるより自分には、
向いているように思う。

今日も日本からアメリカへ。

わっ、プライベートジェットだ。
自分の乗っていた飛行機の近くに
入ってきた。

堂基の経営者一族でも
プライベートジェットなんて
無かったなぁと思いながら

降りる準備をしていると
機内から歓声?黄色い声が·····
見渡すと窓から外を見て
騒いでいる人達

健人も窓から外を見ると····


  ·······あま······ね·······?·····

紺色のワンピースを着て
タラップを下りている。

天音の手が動いた
下から手を差し出されている。

その手の先は、男性。
とても綺麗な顔をしている。

片手に子供を抱いていて
違う方の手を天音にだして
天音もその手に自分の手をのせて
タラップを下りた。

おりると男性が天音を抱き寄せて
頬にキスをして
なにか囁いたのか天音が飛行機を
ちらりと見て微笑んだ。

“美しい”その言葉 以外ない。

まさに、美男美女だ。

男性が子供をおろし
3人で手を繋いで歩く
後ろから女性が歩いていて
天音は、振り返りながら
話しをしている。

俺の横を通る女性達が
『アルフレッド・ブレンデルよ。
奥様もお子さんも素敵
日本へ行かれていたとか
ネットに掲載されていたわ。』
と、話していた。

俺は、ん?と思い
アルフレッド・ブレンデル
と、検索すると
神の手を持つピアニストと。
日本の音楽大学が掲載される。

天音の母校?

····子供も·····できたんだ······

幸せそうな天音の顔を見て
嬉しい?悲しい?残念な思いと嫉妬の中
やりきれない気持ちとなった。

俺が、仕出かした事への報いだ。

俺は、頭を振り
天音の幸せだけを祈る。

自分には、決して出来ないから。

二度、天音に触る事も、会う事も
できないから。
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