エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


両親と話し終えてから、優杏は三谷に声をかけた。

「何かお手伝いすることはありませんか?」
「とんでもない。お客様にしていただくなんて!」

「でも、今日は仕事もないのでなにか手伝わせてください」

「まあ……」

何故か三谷は感動しているようだ。

「片岡の家に、こんないい方が嫁いでくださるなんて……」

煌斗はアメリカで結婚したが離婚しているし、長男の郁杜は未だ独身だ。
三谷にしてみれば、この家に初めて迎える嫁になるのだろう。

「私は家事が苦手で、ご迷惑お掛けすると思います」
「構いませんよ。ゆっくり覚えてくださいね」

三谷にムサシのことも伝えなければと、優杏は遠慮がちに話しかけた。

「それから、三谷さん犬は大丈夫ですか? 愛犬を連れて来てしまっていて」
「ああ、あのワンちゃん。お名前は?」
「ムサシって言います」

三谷がパアっと明るい顔をした。

「私は犬が大好きなんですが、我が家はマンションだから飼えなくて……
だからとっても嬉しいです。お世話させていただいていいですか?」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

三谷が犬好きと聞いて優杏はホッとした。



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