エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
肩にかかる長さの髪も、愛らしい顔も見間違えるわけがない。
(そういえば、今日は事務所に行くとか言ってたな)
彼女がこのあたりにいてもおかしくはない。
ただ、彼女が深刻そうに話している相手には見覚えが無かった。
年齢は煌斗より少し上だろうか。
洒落たジャケットを着こなして、穏やかそうな顔立ちの男性だった。
(まさか……)
煌斗の脳裏に、先日の父との会話が浮かんできた。
(まさか、あの男性が噂の?)
ジェニファーのことがあったばかりの煌斗は、少し冷静さを欠いていたのかもしれない。
不倫をしていた噂なんか信じていないのに、男性と話していだけで優杏の過去が気になってしまう。
街頭の中にいたふたりの姿が、しこりのように胸に残った。