エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
かなり妖艶なイメージの香水のようだ。仕事先での移り香にしては濃厚すぎる。
「どうした?」
煌斗は微かな香りに気がついていないのか、怪訝な顔をしている。
優杏は彼に問うこともできず、何でもないと思うことにした。
「あ、三谷さんにお買い物を届けなくちゃ」
優杏は急いで彼の側を離れ、キッチンにいた三谷に頼まれていた買い物を届けた。
「ごめんなさい、遅くなって」
「いえいえ、こちらこそお忙しいのにありがとうございました」
優杏は銀座のパン屋で買ったバケットを渡す。
「買い忘れておりましたので助かりました」
ここのパンは煌斗の好物だから、三谷は嬉しそうだ。
「そうだ、三谷さん。私、明日は少し遅くなるので夕食はいりません」
「お仕事ですか?」
「はい。チョッと人に会う約束があって……」
優杏は言葉を濁した。
三谷は優杏の噂など何も知らないのだが、溝口夫妻に合うとは言いにくかったのだ。
かつて噂になった相手に会うと言えば、三谷に怒られそうだ。
「わかりました、煌斗さんの分だけ準備しておきますね」