エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


かなり妖艶なイメージの香水のようだ。仕事先での移り香にしては濃厚すぎる。

「どうした?」

煌斗は微かな香りに気がついていないのか、怪訝な顔をしている。
優杏は彼に問うこともできず、何でもないと思うことにした。

「あ、三谷さんにお買い物を届けなくちゃ」

優杏は急いで彼の側を離れ、キッチンにいた三谷に頼まれていた買い物を届けた。

「ごめんなさい、遅くなって」
「いえいえ、こちらこそお忙しいのにありがとうございました」

優杏は銀座のパン屋で買ったバケットを渡す。

「買い忘れておりましたので助かりました」

ここのパンは煌斗の好物だから、三谷は嬉しそうだ。

「そうだ、三谷さん。私、明日は少し遅くなるので夕食はいりません」
「お仕事ですか?」
「はい。チョッと人に会う約束があって……」

優杏は言葉を濁した。
三谷は優杏の噂など何も知らないのだが、溝口夫妻に合うとは言いにくかったのだ。
かつて噂になった相手に会うと言えば、三谷に怒られそうだ。

「わかりました、煌斗さんの分だけ準備しておきますね」



< 142 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop