エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


秋本家は遠くからでも良く見える、濃い緑の切妻屋根が目印だ。
どこかイギリス風で、アーリーヴィクトリアンを思わせるデザインだ。

ややクリームがかった壁の色は幼かった優杏が決めたと父親から聞かされている。
彼女は覚えていないが、色見本の中からそれを指差したそうだ。
きっと、プリンの色とでも思ったのだろう。

そんな庭に、一本だけ雰囲気の違う木がある。
家の北側にある裏庭と、小高い丘との境界線の役割のような欅の大木だ。

長兄が生まれた時に記念になるからと植えた木で、
今では見上げると首が痛くなるほどの高さに育った。

堂々と緑の枝を広げた欅は、秋本家のシンボルツリーと言えるだろう。





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