離婚却下、御曹司は政略妻を独占愛で絡めとる
柊子と同居が始まって一週間が経った。
紆余曲折があったが、俺たちの間から離婚の話は消えた。
しかも、柊子は俺のことを好きだと言う。

奇跡みたいだ。
友達として見られていると思っていた。親の手前仕方なく結婚したのだと思っていた。だから離婚したがっていると考えていた。
しかし柊子もまた、俺のことを長く好きでいてくれたという。
俺が素直じゃない態度をとっていたばかりに、俺に女性として見られていないのだと勘違いし、好意を隠していたと。
自分の性格を呪いたくなる。もっと素直に柊子に接していたら、こんなに遠回りせずに俺たちは夫婦になれたのだ。

しかし、後悔は今更である。俺たちは両想い。ここからじっくりと距離を詰めていけばいい。
高校の時に犯した過ちは、もう繰り返さない。
柊子はほぼ確定で男性経験がないのだから、時間をかけてことを進めよう。俺のことを怖くないと信じてもらえるまで待とう。

可愛い柊子と毎日同じベッドで寝起きしながら我慢するのは正直つらい。
今さっきのように油断した顔や隙のある格好を見れば、欲望がぶわっと大きくなる。

いや、ここで柊子に嫌われるわけにはいかない。そのためには忍耐だ。我慢だ。
恋が叶ったのだから、俺は耐えられる。
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