OL 万千湖さんのささやかなる野望
 かまわず、万千湖はみんなに見えないよう、胸の前で『消しゴムカバーを外してください』という仕草をする。

 駿佑は不可解そうな顔をしながらも、外して見ていた。

 そこには鉛筆で書かれた万千湖の携帯の番号があった。

「……黒に黒で読めん」
 ぼそりと駿佑がもらす。

 細い白のペンがとっさに見つからなかったのだ。

 小声で万千湖は言う。

「日に当ててみてください。
 光ります」

「スパイか……」
と呟く駿佑に、失礼しますっ、と頭を下げ、万千湖はさっさと出て行った。


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