OL 万千湖さんのささやかなる野望
 


 お昼を食べたあと、それぞれの部署に戻ったり自動販売機に行ったりとみんなバラバラと動きはじめた。

 万千湖は駿佑とカラの弁当箱を手に廊下を歩く。

「この間からずっと住宅メーカーさんとお話ししてるじゃないですか。
 家のことで。

 なにもかもお金の単位が大きいから、私、金銭感覚狂ってきてしまって。

 この間、つい、いつもなら買わない、高い方のコンビニコーヒー買ってしまったんですよね。

 ……味の違いのわからない人間なので、あんまりああいうものには手を出さないんですけど」
と万千湖は深刻に語ったが、駿佑は、

「20円くらいしか狂っていないようだが、金銭感覚」
と言う。

「他にも、瑠美さんに誘われて行った3000円のランチをお得だって思っちゃったり。

 100均行ったとき、家に支払うお金で、このお店、全部買い占められそうっ、とか思っちゃったり」

 今、節約しないといけないのにっ、と万千湖は嘆いたあとで、

「ああでも、また買ってみたんですよ」
と鞄をゴソゴソする。

 万千湖が取り出したのは、この間買った年末ジャンボではない、もっと当選金額の低い宝くじだった。

「……それこそが無駄遣いでは」
< 389 / 618 >

この作品をシェア

pagetop