OL 万千湖さんのささやかなる野望
 きっと、私がなにか余計なことを言って怒らせたんだな、と思ったとき、祝詞が終わり、同じく神妙な顔を作っていた母親が後ろから小声で言ってきた。

「あんた、なんで今日いきなりなのよ」

「は?」

「なんで、ここで顔合わせになるのよ。
 地鎮祭より先に席を(もう)けなさいよ」

「えっ? なんの席?」

「親族紹介の席よ」

 ……何故、シェアハウスに住む者同士、親族の紹介が必要なのでしょうか。

「あの、課長と私はいっしょに家を建てるだけなんだけど」
と言ってみたが、母は、

「誰が信じるのよ、それ」
と言う。

 そのとき、
「では、ご主人」
と神主が駿佑に呼びかけた。

 いや、ご主人ではないです、と思った万千湖の後ろから、

「ほら見なさいよ」
と母親が言ってくる。
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