OL 万千湖さんのささやかなる野望
 


「餅、とれなかったわ」

 餅まきの時間に駆けつけた瑠美が後片付けを手伝いながら愚痴ってきた。

「だって、いつの間にやら、黒岩さんに雁夜課長まで来てるし。
 オラオラッて人押しのけてはとれないじゃない」

 だが、そんな瑠美に、やはり手伝ってくれながら、安江が言う。

「なに言ってるのよ、餅まきよ。
 恥じらってる場合じゃないわよ」

 安江は、万千湖たちと同じく、餅まきに命をかける人種のようだった。

「私、結構とれたから、おばあちゃんちに持ってって、ぜんざい作ってもらおうっと」
と安江は機嫌がいい。

 瑠美が、
「ところで、可愛いお巡りさんは何処よ」
と周囲を見回しながら、訊いてきた。

 そう言われると、犬のお巡りさんかなにかのようだが……と万千湖が思ったとき、
「あれかしらっ」
と瑠美が笑顔で、駿佑と話している若い男を見る。

「あれは私の従兄の純くんです」
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