OL 万千湖さんのささやかなる野望
 


 万千湖を送ったあと、自宅に戻った駿佑はあの封筒をテーブルの上に置き、少し考える。

 家に電話した。

「もしもし?
 やっぱりお金返すよ」
と言うと、案の定、美雪は怒り出す。

「……いや、そうじゃないよ。
 お母さんにもらったお金で買うのはなんか違うかなって」

 婚約してないのに、婚約指輪を買って、はめさせることがそもそもおかしいのだが。

 だが、万千湖に母親のお金で指輪を買ってやるというのは、なにかがちょっと違う気がした。

「自分で買うよ」

「でも、あんた、今、お金ないんじゃないの?」

「大丈夫だよ。
 指輪買うくらいはあるよ」

「まあ、そうね。
 ちょっとは男らしいところを見せないとね。

 マチカさん、意外にしっかりしてて、男らしいものね。

 あんた、マチカさん、あんな風だけど」

 どんな風なんだ……。

「一応、アイドルだったんだし。
 可愛いし。

 きっとモテるのよ」

 なんだその、モテそうにはないけど、理論上はモテないとおかしいから、モテるんじゃないの、みたいなの。
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