OL 万千湖さんのささやかなる野望
 


 帰り道、万千湖は駿佑に言われた。

「あれは買わないと収まらない感じだな。
 ……金も持たされてしまったことだし。

 とりあえず、なにか買ってやろう。
 今度見に行くか」

「えっ?
 いえそんなっ、とんでもないっ」
と万千湖は慌てて手を振る。

 かっ、課長に指輪買ってもらうだなんて、そんな彼女みたいなことっ、と思ったのだ。

「まあ、同居する記念とでも思って……」
と言いかけて、駿佑は苦笑し、

「まあ、同居するといっても、二世帯だから、別世帯みたいなもんだけどな」
と言う。

「そうですね。
 あっ、でも、たまには共有リビングで一緒にお茶とかしてくださいねっ」
と万千湖が微笑みかけると、少しの間のあと、

「……うん、そうだな」
と駿佑は小さく頷いた。


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