OL 万千湖さんのささやかなる野望
「どうしたの? 万千湖」
と安江が万千湖に訊いてくれる。

 ありがとう、柴田、と駿佑が思ったとき、万千湖が言った。

「いや~、ついに当選番号見てみたんですけど。
 この間買った宝くじもあっさりはずれてまして」

 ……死ぬほどどうでもいい話だったな。

 っていうか、当たる気マンマンだったのか。

 期待ばかりをかけられて、七福神様もいい加減気が重いだろうよ……と駿佑が思ったとき、

「宝くじ当てて、課長に早くお金、返したかったんですけどね」
と万千湖が溜息をついた。

 それはもしや、さっさと金を返して、俺とは手を切りたいということかっ? と駿佑は焦る。

 もちろん、万千湖は単に、いつまでもお借りしていては申し訳ないと思っていただけだったのだが。

 昨日からずっと、気持ちがざわついていた駿佑は、このとき思った。

 指輪を買わねば。

 自分でも何故なのかはよくわからないが、白雪に指輪を買わねば。

 母親がじゃなくて、ちゃんと俺が――。
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