OL 万千湖さんのささやかなる野望




 昼休み、実は持ってきていた指輪を万千湖は、人気のないロッカールームで、そっとはめてみた。

「あっ、なにそれ可愛いっ」
といきなり間近で瑠美の声がする。

 ひっ、今、何処から湧いてきましたっ!?

「やだっ、婚約指輪っ?」

 そう言いながら、瑠美は万千湖の手をつかむ。

「ち、違いますっ」
「じゃあ、なんで、薬指にはめてんのよっ」

「この指にぴったりだったからですっ」

 そして、他のどの指にはめていいかわからないからですっ、と万千湖が思ったとき、瑠美が叫んだ。

「嫌だ、可愛いっ。
 許せない~っ。

 私も婚約したいっ。
 こういうのくれる彼氏欲しいっ。

 っていうか、この指輪が欲しい~っ!」

 いや、あげませんよっ!?
と万千湖が思ったとき、パタン、といきなり後ろでロッカーを閉める音がした。

 安江だ。

 だから、なんでいつも気配しないんですかっ、安江さんっ。

 あなた、忍者の末裔ですかっ!?
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