暴走環状線
TERRA(テラ)

翌日。
ぼ〜っと、東京の街を眺める昴。
『デス・トレイン』に行き詰まり、気晴らしに隣に聳《そび》え立つTERRAコーポレーションの展望ラウンジに来ていた。

2杯目のコーヒーを飲み始めた時。

「あら?昴ちゃんじゃないの!」

肩をポンっと叩き、隣に座る美女。

「いつものお願いね〜」

ウェイターが軽く会釈して下がる。

「だ、誰…ですか?」

ベージュカラーのショートボフヘアー。
ラフなカジュアルスーツにミニスカート。
大人的な淡いブラウンのハイヒール。

「誰って、私よ、ヴェロニカ」

「………ぇえええ〜⁉️💦💦」

あのお堅いカリスマ的なインテリ感はなく、上から下まで全てが変わっていた。

「ど…どうしたんですか?」

「まぁね、色々あったし、ラブのマネージャーからも解放されて、研究に打ち込めるんだけどね〜まだ、少し心の整理が必要みたい」

先の戦いで、実の姉を亡くし、TERRAコープの社長兼スーパースター、トーイ・ラブから、暫く旅行でもと勧められた彼女。

「あんまり変わってるので、わかりませんでしたよ、ビックリです」

「ちょっとパリを満喫してたら、こんなになりました、アハっ!」

「雰囲気も話し方も、変わりましたね」

「やっぱ、変かな💦」

「いえ!とても素敵です❗️」

「ウフッ。ありがと。ところで何ボーっとしてたのよ?」

「あっ❗️そうだ。今事件に関する暗号を解いてるんですが、分からなくて。良かったら手伝って貰えませんか?」

世界最高頭脳の持ち主である。

「面白そうね…あ、ごめんなさい。不謹慎だね。ラブ達は後片付け兼ねて、海外ツアー中だし、暇だからいいわよ」

「海外ツアーですか。さすがですね」

「ティークとT2(ティーツー)連れてのツアーよ。本当は何してんだかね〜分かったものじゃないわ」

極秘任務であることは間違いない。

「とりあえず、まずは状況を教えて」

こうして最強の協力者が加わり、事件は予想もしない展開へと進み始める。

そして再びこの東京を、最悪の事態へと誘《いざ》なうのであった。
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