【完結】橘さんは殺された。


 牧村先生は俺達に本当のことを話した。 
 ということはやっぱり……犯人ではない。



「……牧村先生、ありがとうございました」

「では、俺達はこれで失礼します」

「……ご苦労様でした」 

 俺達は牧村先生の元を離れて、学校の校舎へと出た。

「……どうやらさっきの話、本当っぽいな」

 と、瀬野さんが口にする。

「はい。……俺には牧村先生が嘘をついているようには、見えませんでした」

 牧村先生の言うことが本当だとしたら、犯人は別にいる。……牧村先生と城戸先生は、犯人じゃない。
 じゃあ一体誰が、犯人だと言うんだ……。

「また振り出しに……戻ってしまいました」

 ようやく犯人を見つけたと思ったのに、空回りしてしまった……。

「でも収穫はあった。犯人は別にいるってことが今ので分かっただろ?」

「……でも、悔しいです」

 あの時牧村先生と城戸先生が本当のことを警察に話していれば、もしかしたら事件はもっと早くに解決出来たかもしれなかった。
 だけどそれも、七年経った今でも意味のないことのようにも思える。

「なら手がかりをまた探せばいい。 一歩ずつ、確実に証拠を掴んで、可能性を潰していこう」

「……はい」

「でも、焦りは禁物だ。分かってるな?」

 橘さん、橘さんを殺した犯人を、俺が絶対に捕まえるから。
 それが橘さんのために、俺が唯一出来ることだと思うからーーー。
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