辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「なんでもないの」
笑顔を向けてアンネを抱き上げてギュッと抱きしめた。自分たちの食事を片付けているとき、慌てたようにコレットさんが入ってくる。
「フェリーネ、アレックス様は?」
「え? 数刻前にもうここから出ていかれましたが」
皿を手にした私だったが、なだれ込んできた兵たちに目を丸くする。
「やはり一人で行かれたのか」
悔しそうに言葉を吐き、顔をゆがませる彼らに一人で行ってしまったことを悟る。
「伝えていけばきっと皆さまが反対されると思ったのでしょう」
先ほどの覚悟を聞いていた私はキュッと唇を噛むと、彼らに視線を向けた。
「今は殿下が無事にお戻りになるのを私たちは祈りましょう」
この言葉は私が自分に言い聞かせたのかもしれない。
きっと無事にお戻りになる。