辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
国王様主催の舞踏会当日。
朝から私の一日はめまぐるしく始まった。クラリスをはじめ、たくさんの人に囲まれてお湯に入ったり、マッサージをされたりしている。
「こんなにしても変わらないわよ?」
私は今、専用の寝台にうつぶせになり、背中を丹念にマッサージされている。
「何をおっしゃいますか。こんな綺麗で美しい肌、もっとお見せになってください」
クラリスが準備の傍ら私に呆れたように声を上げる。
「そんなこと……」
まだ否定する私に、クラリスは作業の手を止めて私の元へとやってくる。
「アレックス様は何もおっしゃらないのですか? もっと女性を褒めるべきですのに」
あの夜、朝目を覚ますと、目の前にアンネ、そしてその向こうに綺麗なシルバーブルーの髪が見えて、私はつい叫びそうになった。
そんな時、クラリスがいつも通り私の部屋へと入ってきた時は、恥ずかしくて仕方がなかった。
何もやましいことはない、そう何度も説明したが、クラリスは全く聞く耳を持たず、「お子様もいらっしゃるのに何を恥ずかしがっているのですか」と逆に私を磨くことに生きがいを感じている。