辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
その夜、なぜか感傷的になってしまって、私は眠ることができなかった。
いつの間にか、彼が隣にいることが当たり前になってしまった小さなベッド。

いつもは恥ずかしさもあり、背を向けて眠っている私だったが、そっと向きを変えると、先に眠ってしまった彼の寝顔を盗み見る。
綺麗な瞳は閉じられているが、それでも美しい。

私みたいな人間には、偽りでも結婚相手になるような人ではないだろう。
しばらく、この幸せを焼きつけたくて、私はただ彼を見つめていた。どれくらいそうしていたのだろう。
一向に眠くならないが、このまま見ていれば、思いが募るだけのような気がする。

小さくため息をついて、いつものように彼に背を向けた私だったが、不意に頭に温かいものが触れる。
それが彼の手だと気づいた。

「どうした? 眠れない?」

優しい声音に胸がキュッと音を立てる。振り返ってもいい? そう思い身体を動かそうとした私だったが、初めてそのまま後ろから抱きしめられる。

え?

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