辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「今回はこの場所の視察を?」
「ええ、あなたも知っての通り、またこの辺りに瘴気がね。それでまたアレックス様が」
そうか、やはり二年前も、殿下はそのためにやってきたのだ。
「今回は、それほどひどくはないから殿下が出るほどでもなかったのに、自分で行くと聞かなくて。二年前だって生死を彷徨ったのに」
その言葉にドクンと胸が大きな音を立てる。
婚約の話を聞いたとき、生きていたことが一番嬉しかったが、私のもとに顔だけでも見せてくれなかったことが悲しかった。
しかし、生死を彷徨ったのならば、別れの言葉を言われなかったことも理解できた。
少しだけ自分の都合の良いように考えてしまったが、すぐに再会したときの冷たい表情を思い出す。
どうして彼はわざわざ会いに来たのだろう?
決してただ近くに来たから少し寄った、そんな感じには見えなかった。
シルバーブルーの瞳は昔とは全く違い、凍えるように冷たかった。