辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
本来父親ならば知る権利があるのはわかっている。
アンネにとってはたった一人の父親なのだ。でも……。

平民だと思っていた人は、想像もしていなかった身分の人だった。
それ故に伝えることも憚られるし、ただただ不安しかない。

アンネのことは知られないまま、二度と会わないことがお互いのためな気がする。

どうしよう。何度目かわからないその言葉を心の中でつぶやく。

二年前、身分を知らずに出会いアンネを授かった。そして二年後、その人が第二王子だったことを知り、その人が義妹と結婚すると知った。
そのすぐ後に、二年ぶりに彼が目の前に現れ、話もしないうちに私が倒れてしまい彼の城にいる。
今現在はここだ。

冷静に考えたところで状況は何も変わらないし、わかっていることは何もない。
ただ、彼は私に用事があったからやってきたことだけは真実だ。

戻るのを私は待つしかない。それ以外の選択肢は現状ないのだ。

とてつもなく不安な一週間が始まった。
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