辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
門番が開けたドアをくぐれば、いつもとは少し雰囲気が違うその光景に俺は驚く。

いつも偵察に出かけるときは、兵と少し従者だけを連れてきていたこの城だが、何やら明るい声がする。

「アンネちゃん! 待って!」

馬を降りてその声に目を向ければ、噴水の周りをキャキャと楽しそうに笑う子供の姿があった。

その後ろをメイドのカーラが追いかけている。

あの子がいるということは、フェリーネがまだ城にいるということだ。彼女は何をしているのだろう。

ドクンと胸が音を立てる。

そんなときカーラが俺たちに気づいたようで、こちらに視線を向けた後、走ってくるのがわかった。

「失礼いたしました。殿下、お帰りなさいませ」

俺に挨拶をするのは当たり前だが、俺は小さなあの子供を目で追っていた。

フェリーネの大切な娘。
まだ一歳を過ぎたばかりだろう、宙を舞う蝶に興味津々にぴょんぴょんと飛び跳ねている。
そんな時、まだ小さな体で噴水によじ登り、蝶に手を伸ばす。

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