辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「おかーたま」
にこにことする娘に、彼女はホッと安堵したような表情を浮かべた後、いきなりその表情を固めた。

「殿下、おかえりなさいませ。この度は多大なご迷惑をおかけし、申し訳ありません」

深々と頭を下げる彼女に、俺は何と言葉をかければいいのかわからなくなってしまう。

「おかーたま?」

そんな俺たちの空気を壊すように、抱いていた娘が声を上げた。

「アンネ、こっちへいらっしゃい」
ハッとしたようにフェリーネが言うと、アンネと呼ばれた娘はフイっと顔を背けた。

「アンネ!」
その行動に驚いたフェリーネが少し大きな声を上げる。なぜか焦っているようにも見える。

「アンネというのか?」
小さなその娘のシルバーパープルの髪を拭きながら言えば、アンネはにっこりと笑った。
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