嘘よりも真実よりも
「みちるがたくさんの人に愛されてきたからこそだよ。みちるは優しい両親の間に生まれた。富山になることはそれを否定するわけじゃないし、俺はみちるという女性に惹かれた。それだけはわかっていてほしい」
「久我の名前を捨てたら、父は傷つくでしょうか」

 父とつながる唯一の証を手放したら、あの人に会うことなく、本当に終わってしまう。

「それは、会って話すといい。迷惑をかけてしまったから、食事をご馳走したいって言っていたよ」
「え……」
「娘と間違われた女性と会うには、じゅうぶんすぎる口実ではないかな? きっと、ずっとみちるに会いたかったはずだよ。そうじゃなきゃ、あの仕事を続けてないよ。テレビに映り続けることで、毎日彼は、みちるに会ってるつもりでいたんだろう」

 まるで、聞いてきたことのように、彼は言う。

「あの人がそう言ってたの? 会ったの? 総司さん」
「本当の真実は、これから尋ねていけばいいんだよ。さあ、みちる、そろそろプロポーズの返事を聞かせてもらえますか?」

 両手を握り合って、私たちは見つめ合う。

「はい。総司さんと、結婚します」





【完】
< 134 / 134 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:53

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜

総文字数/54,843

恋愛(オフィスラブ)80ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大手オーナー企業、友澤ビルディングの秘書として働く小塚七海は、大学時代からひそかに「推し」ていた加賀樹生と再会するため、同窓会に出席する。 樹生に誘われて、ふたりで居酒屋に行くも、七海は酔った勢いで、彼への長年の思いを打ち明けてしまう。 「ずっと……、樹生さんが好きだったよ」 「だったら、結婚しないか」 しかし、彼から返ってきた言葉は、『期間限定の契約結婚』という予想外の提案だった。 時を同じくして、樹生は友澤ビルディングの副社長に電撃就任。彼の専属秘書となった七海は、会社を揺るがす不正問題に巻き込まれていく。 ただ大好きな人と結婚しただけなのに。 もどかしいふたりの秘密の結婚生活が、いま始まる──
表紙を見る 表紙を閉じる
声を失った令嬢、フロレンティーナ・カリスト(通称ティナ)は、和平交渉の成功を手助けしたことで国王の怒りを買い、公爵家から追放されてしまう。 行き場を失い、雪の中をさまよう彼女を救ったのは――和平交渉の場で出会った、敵国の騎士団長・ラスフォード・エイルズだった。 静かな異国の屋敷に身を寄せることになり、少しずつ距離を縮めていくティナとラスの間には、穏やかな愛が芽吹いていく。 だが、陰謀の影がふたりを襲い、やがて明かされる出生の秘密。 沈黙の令嬢と心優しき騎士団長の、静かで優しい恋物語。
表紙を見る 表紙を閉じる
囚われた弟を救うため、貧民育ちのリーゼは公爵令嬢になりすまし、騎士団長シルヴィオに嫁いだ。 彼女に与えられた任務は、夫を監視すること。 結婚後、新居で待っていたのは、「氷の騎士」と恐れられる無口な夫。 しかし──戦地から帰還した彼は、別人のようにリーゼを溺愛し始めて……!? 「あなたのことを考えない日は一日たりともなかった」 次第にシルヴィオに惹かれていくリーゼ。けれど彼女は知らない。この結婚には、さらなる罠が仕掛けられていることを。 守り守られ真の夫婦を目指す恋愛ファンタジー! ※ヒロインが実家で虐げられるシリアスな展開がありますが、ヒーローによる救済・溺愛へと繋がります。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop