嘘よりも真実よりも
「みちるがたくさんの人に愛されてきたからこそだよ。みちるは優しい両親の間に生まれた。富山になることはそれを否定するわけじゃないし、俺はみちるという女性に惹かれた。それだけはわかっていてほしい」
「久我の名前を捨てたら、父は傷つくでしょうか」

 父とつながる唯一の証を手放したら、あの人に会うことなく、本当に終わってしまう。

「それは、会って話すといい。迷惑をかけてしまったから、食事をご馳走したいって言っていたよ」
「え……」
「娘と間違われた女性と会うには、じゅうぶんすぎる口実ではないかな? きっと、ずっとみちるに会いたかったはずだよ。そうじゃなきゃ、あの仕事を続けてないよ。テレビに映り続けることで、毎日彼は、みちるに会ってるつもりでいたんだろう」

 まるで、聞いてきたことのように、彼は言う。

「あの人がそう言ってたの? 会ったの? 総司さん」
「本当の真実は、これから尋ねていけばいいんだよ。さあ、みちる、そろそろプロポーズの返事を聞かせてもらえますか?」

 両手を握り合って、私たちは見つめ合う。

「はい。総司さんと、結婚します」





【完】
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