嘘よりも真実よりも
「清貴はどう思う? みちるが金城さんと結婚するなら、富山にできることはあるか?」
「兄さんらしくないな。そんなの、俺に聞くまでもないだろ?」
「そうだな。清貴は欲がなくて羨ましいよ」

 仁志さんは苦笑いして、総司さんに向き直る。

「富山の家長は不在ですので、俺の一存では決めかねますが、願いは確かに受け取りました。みちるはこれまで富山の娘のように育ってきました。養女に迎え入れる話が今までなかったわけではありません」
「え……、養女?」

 思わず、声が出ると、仁志さんはたしなめるように目くばせする。

「ですが、我々にも希望があったんですよ。いつか、久我直己さんがみちるを迎えに来てくれるかもしれないと。それももう、叶わないと明白になりました。今なら、富山もみちるを養女に迎え入れる決意をされると思います」
「ありがとうございます」

 総司さんは言葉少なに、頭を下げる。

「よかったなー、みちる。遠慮なく、富山みちるとして、胸を張って金城さんと結婚するといい」

 清貴さんの方が誇らしげに胸を張り、仁志さんは穏やかに微笑んで、私にうなずいて見せる。

 私はずっと、相楽でも久我でもなくて、ただのみちるで、そんなの気にしなくていいって何度も思ったのに自信が持てなくて。

 総司さんにつり合う女性になんて、一生なれないと思ってた。

 仁志さんと清貴さんは客間を出ていった。残された私は、空になったコーヒーカップに気づいて、ようやく声が出た。

「本当に?」

 信じられなくて、胸に手を当てる私を、総司さんが優しく抱きしめてくれる。
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