嘘よりも真実よりも
清貴さんに先導されて、会場内を移動していく。
振り返った時には、総司さんは人の波にかき消されていた。
優しい味のお酒をいくつかいただいて、和食から洋食、見た目も味も完璧な料理を楽しんだ。途中、忙しい仁志さんに挨拶も済ませ、あっという間に時間は過ぎた。
その間も、総司さんと何度か目が合った。
決して私に近づいてこようとはしないけど、無関心に離れていく様子でもなかった。だから私も、彼と同じように頭を下げるでもなく、歩み寄るわけでもなくやり過ごした。
そんな私に気づくことなく、清貴さんは時折、知り合いに会っては私を紹介し、また一緒に仕事をしましょうと顔を売っていた。
そのためのパーティーだったとようやく気づいた時にはもう、足元は浮かれてしまっていた。
ふらふらっとする身体を清貴さんに預けると、彼は心配そうに私の顔をのぞき込む。
「少し休む?」
「は、はい。ごめんなさい。飲み過ぎちゃって」
「そんなに飲んでないだろう? ほとんどジュースだよ」
ほんとに弱い、と彼はおかしそうに笑って、私の背に手を当てる。
「ロビーに行ってて。俺もすぐに抜け出すよ」
「まだ仁志さんと少ししかお話してないですよね。……私、先に帰ります」
落ち着いたらゆっくり話そう、と仁志さんが清貴さんに耳打ちしていたのを思い出して、そう言う。
パーティーはまだまだ続くだろう。もしかしたら、二次会だってあるかもしれない。
「帰る?」
「やっぱり、こういう雰囲気は苦手で……」
「まあ、疲れるのは仕方ないよな。一人で大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。思ったより、楽しめました」
「楽しんでた? それならいいけど。じゃあ、俺もテキトーに楽しんでから帰るよ」
振り返った時には、総司さんは人の波にかき消されていた。
優しい味のお酒をいくつかいただいて、和食から洋食、見た目も味も完璧な料理を楽しんだ。途中、忙しい仁志さんに挨拶も済ませ、あっという間に時間は過ぎた。
その間も、総司さんと何度か目が合った。
決して私に近づいてこようとはしないけど、無関心に離れていく様子でもなかった。だから私も、彼と同じように頭を下げるでもなく、歩み寄るわけでもなくやり過ごした。
そんな私に気づくことなく、清貴さんは時折、知り合いに会っては私を紹介し、また一緒に仕事をしましょうと顔を売っていた。
そのためのパーティーだったとようやく気づいた時にはもう、足元は浮かれてしまっていた。
ふらふらっとする身体を清貴さんに預けると、彼は心配そうに私の顔をのぞき込む。
「少し休む?」
「は、はい。ごめんなさい。飲み過ぎちゃって」
「そんなに飲んでないだろう? ほとんどジュースだよ」
ほんとに弱い、と彼はおかしそうに笑って、私の背に手を当てる。
「ロビーに行ってて。俺もすぐに抜け出すよ」
「まだ仁志さんと少ししかお話してないですよね。……私、先に帰ります」
落ち着いたらゆっくり話そう、と仁志さんが清貴さんに耳打ちしていたのを思い出して、そう言う。
パーティーはまだまだ続くだろう。もしかしたら、二次会だってあるかもしれない。
「帰る?」
「やっぱり、こういう雰囲気は苦手で……」
「まあ、疲れるのは仕方ないよな。一人で大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。思ったより、楽しめました」
「楽しんでた? それならいいけど。じゃあ、俺もテキトーに楽しんでから帰るよ」