嘘よりも真実よりも
「みちるさんですか。素敵なお名前ですね」
「ありがとうございます」
「まさか、こんなにもはやくまたお会いできると思っていなかったので、焦りました」
追いかけてきて、半ば強引にラウンジへ誘ったことを恥じるように、彼は苦く笑う。
「お声をかけずにすみませんでした」
「いえ、俺も富山清貴さんとは面識がないもので、迷ってしまって」
「清貴さんをご存知なんですね」
「お顔だけは。ご一緒に来られたんですね」
「はい。清貴さんがいないと何もできなくて」
「お付き合いされてるんですか?」
「えっ」
驚く私を、彼は妙に切なげに見つめている。
総司さんは、私を気にしてる?
それは、そう。気になる女性じゃなきゃ、ふたりきりで話がしたいなんて誘ったりしないだろう。
そういう気持ちがあるからプライベートな質問をするのだし、私がついてきたのも、少しは好感触だからだろうって知ってる、大人な人だろう。
「お付き合いはしてないです」
「言葉通りに受け止めます」
言葉通りでなければ、何を想像したのだろう。付き合ってなくても男女の関係かもしれないなんて疑ってたんだろうかと思ったが、ホットウーロン茶を運んでくるバーテンダーに気付いて、疑問は胸に秘め、口をつぐんだ。
「よくパーティーには来られるんですか?」
「いいえ、今日がはじめてです。賑やかな場所はあまり得意じゃなくて」
「そうですか。みちるさんほど綺麗な方に、なぜ今まで気づかなかったのかと悔やんでいましたが、はじめてでしたか」
「悔やむだなんて……おかしい」
「ありがとうございます」
「まさか、こんなにもはやくまたお会いできると思っていなかったので、焦りました」
追いかけてきて、半ば強引にラウンジへ誘ったことを恥じるように、彼は苦く笑う。
「お声をかけずにすみませんでした」
「いえ、俺も富山清貴さんとは面識がないもので、迷ってしまって」
「清貴さんをご存知なんですね」
「お顔だけは。ご一緒に来られたんですね」
「はい。清貴さんがいないと何もできなくて」
「お付き合いされてるんですか?」
「えっ」
驚く私を、彼は妙に切なげに見つめている。
総司さんは、私を気にしてる?
それは、そう。気になる女性じゃなきゃ、ふたりきりで話がしたいなんて誘ったりしないだろう。
そういう気持ちがあるからプライベートな質問をするのだし、私がついてきたのも、少しは好感触だからだろうって知ってる、大人な人だろう。
「お付き合いはしてないです」
「言葉通りに受け止めます」
言葉通りでなければ、何を想像したのだろう。付き合ってなくても男女の関係かもしれないなんて疑ってたんだろうかと思ったが、ホットウーロン茶を運んでくるバーテンダーに気付いて、疑問は胸に秘め、口をつぐんだ。
「よくパーティーには来られるんですか?」
「いいえ、今日がはじめてです。賑やかな場所はあまり得意じゃなくて」
「そうですか。みちるさんほど綺麗な方に、なぜ今まで気づかなかったのかと悔やんでいましたが、はじめてでしたか」
「悔やむだなんて……おかしい」