ひねくれた純愛 アイリスとカーライル

アイリスの香水

<アイリスの香水>

久しぶりの休暇で、
俺はなじみの女とデートをしていた。
この女は組織の人事の情報通だ。
俺の大事なカードの1枚だ。

食事の後、
女が口紅を買いたいというので、
デパートの化粧品売り場に
俺もくっついていた。

すぐそばに香水売り場がある。
「いかがですか?
彼女のプレセントに?」

化粧の濃い店員が、
俺の女を横目に見てささやいた。

「そうだな・・
アイリスの香りってあるかな?」

「いくつか有名なのが・・
これはいかがですか」
店員は細い白いテスターの紙に
香水を落とした。

鼻先に・・
あの香りが広がる。
「ではこれを・・口紅と一緒に」

「わぁ、嬉しい!
香水も買ってくれるの?」
女は単純に喜んでいた。

ホテルに女と戻ると、
俺はベッドに座って言った。
「その香水をつけてくれないか?」

「ふふ、そうね、」
女は妖艶な笑みを浮かべて
答えた。
彼女に似合うのは、
男を狩るためのムスク系の香りだろう。
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