ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
「ブブッーーー、はずれ!」
女はしてやったりというような、
得意顔を俺にみせた。

「トーマス・ハミルトンは
実は男色家だったということ。」

俺の指から新しいたばこが転がり落ちた。

「極秘事項だったけど、皆知っていたわ。
だから彼女を妻にすることで、
対外的な私生活をカモフラージュしたのよ・・・」

俺は無関心のように見せたが、
内心うなった。

「なるほど・・
自分の恋愛関係を隠すために、
偽装結婚したのか」

年齢差ありすぎの、愛のない結婚。
結婚と言うより、事実上の拘束だろう。

衣食住の保証と永住権の取得、
その代わりに名前だけの妻という使用人になること。

女は買ったばかりの赤いルージュの唇で、たばこをふかした。

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