ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
俺は、そのまま窓下の街路灯を
見つめた。
「俺もこの仕事を辞めようと思っています。
ここから100キロ離れた所に、
俺の親父の牧場があるんです。
親父から共同経営してくれと
言われているし。」
俺は心を落ち着けるために、
たばこの煙を深く吸い込んだ。
「もちろん、今までの女関係は、
否定しません。
でも、結婚とか子どもの問題に
ついて、将来の事を
話し合った女はいませんよ。
あなたが初めてだ。」
教授がバックのチェーンを
握りしめているのが、視界の端に
見えた。
「それに子どもができたら、
そこで暮らしてもいい。
子どもを育てるのには、良い場所です。
親父も孫ができたら喜ぶと思います。」
あなたを愛している、
守りたい、そばにいたいと言葉に
できない。
そう言いたくても、
おかしな表現になってしまうのが
俺だ。
教授は信じられないといったように、アーモンドの瞳を細めて、
俺の顔を見つめた。
俺の目は、まだ街路灯に向けられている。
正直、教授の顔を見る勇気がない。
それでも言葉を続けた。
「男の子なら、狩りとか馬の乗り方とか、ナイフの使い方とか、
いろいろ俺が教える。
女の子なら悪い男の見分け方とか、ダンスの練習相手もできる。
まぁ、勉強は教授、
いやアイリス・・
あなたが見てくれればいいし」
奇妙なプロポーズだな。
自分で言っておいて、戸惑ってしまう。
教授はうつむいて、頭を抱えた。
「貧血を起こしそうだ」