クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「北の砦の様子だが、まあ、相変わらずだ。だがな、隣国の動きがいつもと違うように感じた」

 ティメルも、ぴくりと眉尻を反応させる。隣国の動き、それは気になるところだ。
「あまり近づくこともできなかったが、どうやら、向こうの砦にいる騎士たちの数が減っているように見えた」
 砦の騎士の数が減る。それは即ち、他の場所に人を回しているということで。

「気になりますね」

「だろう? 行ってきた甲斐はあったということだ」
 そうやって新妻から逃げている行為を正当化させている。

「ところで。レーニス様は、デーセオ様にお会いしたがっておりましたよ」
 ティメルの言葉に、デーセオはピクリと眉尻を動かした。

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