クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「嫌だ。彼女にこの顔を見せることはできない」

「でしたら、いつものようにフードをかぶればよろしいではないのですか?」

「それも嫌だ。フードをかぶるとレーニスの顔がよく見えない」

 子供か、とティメルは思った。いや、子供の方がまだマシだ。自分の気持ちに素直に行動してくれるだけ子供の方が、この遅れてやってきた初恋を拗ねらせている図体がでかくて怖い顔の竜騎士よりもよっぽどマシである。そしてこれが、秘境の竜騎士と呼ばれ竜騎士部隊をまとめている部隊長なのか、と。秘境ではなく卑怯の間違いではないのか、と

「でしたら。レーニス様の手紙を読んでどう思われたかを書いてみればいいじゃないですか」
 ティメルも適当に提案することにした。何を書いたらいいかわからないって、子供の宿題の絵日記ではないのだから、とツッコミを入れたい。
「もしくは。そうですね。レーニス様は飛竜にご興味をお持ちのようですから、デーセオ様の飛竜について教えてあげたらいかがですか?」

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