クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 それを見てレーニスは、デーセオが民たちから好かれていることを改めて感じた。まだ、呪いの模様の全ては消えていないけれど、それでもうっすらとしていて近づかないとわからないくらいになっている。残っているのは進行性の呪いのみ。これは解呪方法を間違えると、解呪者に呪いが戻ってきてしまうから、慎重に行う必要があった。だから、文献などで調べ、もう少し力が戻ってからと思っていたところ。

「レーニスさまー」
 幼い声に名を呼ばれた。レーニスは声の主を探すと、それは小さな女の子だった。

「おめでとうございます」
 小さな花束をレーニスに手渡そうとしている。驚いてデーセオを見上げると、受け取りなさいとその顔が言っていたので、レーニスはそれを受け取った。

「ありがとう。あなたに、幸せが訪れますように」
 レーニスはその子の頭を優しく撫でた。
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