クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 デーセオは彼女のお腹を支えていたその手に少しだけ力を込めた。
「レーニス。その、何も今すぐでなくてはいいんだ。そう、そのうち……、俺の子を生んでくれるか?」
 デーセオは口にしながらも、恥ずかしくなって彼女の肩に頭をコツンと預けた。

「その……。授かることができれば……」
 レーニスはそう答えることしかできなかった。だが、心のどこかで家族というものに想いを寄せているのかもしれない。
 父と母と自分と。幼い頃の、聖女候補となる前のフォッセ家で過ごしたあの心が穏やかになるような時間を。
 それをこのデーセオと作り出すことに、どこか期待を寄せていたのかもしれない。エロ親父と、ではなく、愛する夫と作り出す幸せな時間を。
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