クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 はず、としか言えない策だから、何重にも策を重ねておくしかない。

「ティメル。すぐさま陛下にも連絡を。そして、神殿を動かしてもらえ」

「そちらは終えております。今頃、陛下が神殿に乗り込んでいるかもしれませんね」
 と言うのは冗談ではあるが、ティメルは楽しそうに笑っていた。
 王都に魔術師たちは何十人もいる。だから魔術を使って彼らと連絡を取り合うこともティメルにとっては造作もないこと。

 そもそもティメルだって王立魔術師団に所属していれば、団長やらそれに次ぐ地位にいてもおかしくないような力を持つ男なのだ。それでもこの不器用な竜騎士の部下で居続けるのは「こっちの方が楽しそうだから」という理由による。そんな理由で自分の駒となるような魔術師たちまで引き連れて、この国境の辺境にまでやってきてしまった。そして竜騎士部隊魔術師小隊という隊まで作り上げてしまう。
 それもこれも全てティメルの「楽しそうだから」という理由によるもの。

 さらにその楽しいことがすぐ側までやってきているのだ。

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