クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「レーニス、着替えをしてからいらしてちょうだいね」
 ロイスは身近にいた侍女にレーニスの着替えを命じると、そそくさと戻っていく。

「お嬢様」
 この屋敷のお嬢様でもなくお荷物であるレーニスのことを侍女はそう呼んだ。仕方なく、レーニスは侍女に従い、着替えをする。この屋敷に来てから、初めて袖を通すようなドレスだ。どこに隠してあったのか。いや、恐らくだが、その嫁ぎ先の相手に会わせるようなときのために準備しておいたものだろう。

「お似合いです、お嬢様」

 侍女のこの言葉は本心なのかお世辞なのかよくわからないところがある。ありがとう、とはにかんでから、彼女はオーサーと呼ばれる魔術師がいると思われる応接室へと案内された。

「奥様、お嬢様をお連れしました」
 まあまあ、と手をすりすりしているロイスだが、笑っている瞳の奥にどこか卑しい光が灯っているように見えた。
「オーサー様、レーニスです」

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