クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 それでも民たちのためになるのであれば、とレーニスは聖女候補として神殿で生活することを選んだ。だが、そこでの生活は民たちのために、というよりは金のためにというもので、レーニスが思っていたそれとは少し異なる部分があった。それでもレーニスは、民たちのために、貧しい者たちにも平等に祈りを捧げていた。自分が聖女になったら、全ての民たちに平等に祈りを捧げられるようにしたい、そう思っていた。
 だが、突然、聖女様から突き付けられた一言。

 聖女候補として不適格――。

 勝手に聖女候補にされ、勝手に不適格の烙印を押され。それでもレーニスが気になっていたのは、彼女が祈りを捧げていたお金の無い民たちのこと。力を失ってしまったレーニスは、もう彼らに祈りを捧げ、その生活を豊かにする手伝いができない。
 ならば、今いるここの領民の生活を、少しでもよくしていきたいとそう思っていた。
 自称エロ親父のデーセオかもしれないが、自分の顔が醜いと言ってその顔を晒すようなことはしない。それでも、彼の優しさが伝わってきた。少しでもデーセオの役に立ちたいと、レーニスはそう思っていた。
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