偽装結婚の行く末
「そういえば美優ってさ」


スーツの上着に袖を通した昴は、ふとなにか思い出したようにあたしを見つめてきた。
何、文句でもある?


「セックスの時、しおらしいのクッソかわいいな」


その言葉の意味を理解するのにしばらくかかった。
は?それ今言うこと!?


「なんなの急に!いっぺん死ね!」

「美優残して死ねるかよ」

「……もう、ウザい!ハゲたらいいのに」

「美優って俺のこと好きだよな」


思わず暴言とともに殴りかかったけど昴は簡単に拳を受け止める。
こういう思考の読めないところ、いまだにどうしたらいいか分からない。
悪態ついてるのに余裕の笑みだし。
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