偽装結婚の行く末
その後車はデパートに停まって、ハイブランドの店が集まるフロアに来た。
昴はその中にひとつの店舗に入ると女性物の服を見始めた。

しばらく眺めていたら女性の店員が声をかけてきた。
すると昴は「これ、試着をお願いします」と言ってその中の黒いドレスを店員に渡した。


「ではご案内いたします」

「え、あぁ……はい」


流されるままに個室の広い試着室に入ったのはいいけど気になるのは値段。
あたしは値札を見て絶句した。想像よりゼロがひとつ多かったから。


「昴、ねえ昴!」

『どうした?』


慌てて試着室から昴に電話をかけた。


「あたしこんな高い服買えない……!」

『一着くらいいいの持っとけ。それに相手は金持ちの令嬢だぞ?』

「いやだから、持ち合わせが……」

『お前自分で払う気かよ』

「は……?」

『俺が買うに決まってんだろ。とりあえず着たら出てきて』


これ、昴が買ってくれるの?彼女でもないあたしに?
羽振り良すぎだって。昴だけ感覚バブル時代かよ。
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