偽装結婚の行く末
「昴の家で暮らすなら、むしろあたしがお世話になるのに本当にいいの?」

「お前が使わねえなら母ちゃんにいいもの買ってやれよ」

「じゃあ……弟の学費に回す」


そう言うなら有効活用させてもらおう。

あたしには8歳違いの、非の打ち所がない菩薩みたいな弟がいる。
実家があんまり裕福じゃなくていろいろ我慢してるから、これはあの子に渡そう。


「へえ、まあ使い方はご自由に。
美優、せっかくだからメシ食おうぜ。
どっか行きたいとこある?」

「とりあえずこのお金をATMに入金したいので近くの銀行に寄ってください」

「はいよ」

「あと今日は中華の気分」

「あー、中華いいな」

「それから、今週末から昴の家にお邪魔しようと思う」

「おう、いつでもどうぞ」


いろんな要求がすんなり通ってちょっと変な気分。
昴といるとなんだか胸がくすぐったい。
たぶんそれはあたしたちが名前のない関係だからと思う。
ま、恋人でもなく兄弟でもないこんな関係は楽だし悪くないけど。
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