偽装結婚の行く末
「……うわっ」


そう思いながら荷物を抱えて昴が住んでる部屋の扉を開けた。
はいはい、外観から既に分かってたけどいかにも高級マンションって感じ。


「なんだようわって」

「いい家住んでるじゃん」

「玄関だけじゃ分かんねえだろ」

「玄関がすでにウチの風呂場くらいありますけどぉ?」

「そりゃ美優の家が小せぇんだよ」

「は〜、ムッカつく!」


言わなくてもいいこと言うから、あたしも心の声をわざと口にした。
昴は「美優はブレねぇな」と笑って家の中に入った。

当然リビングも広くてさすが社長って感じだった。
インテリア関係の職場だから人の家を品定めしちゃうところあるけど、昴の家はモデルルームみたいな綺麗さ。

物で溢れかえってるあたしの家とは大違い。


「へぇ、キッチンめっちゃ綺麗」

「だって使ってねえし」

「いつも外食?」

「ほとんどそうかな、あとカップ麺」

「ふーん」


カップ麺今も食べてるんだ。よく一緒に食べてたな、と懐かしみながら床に荷物を下ろす。
するとなぜか昴が距離を縮めてきた。
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