偽装結婚の行く末
「……昴!絶対来ないでって言ったじゃん!」

「そうだっけ?たまたま律と会ったから成り行きで来ちゃった」


来ちゃったじゃないし。絶対確信犯じゃん。


「ただいま姉ちゃん」

「律〜、久しぶり!」


腹が立ったけど弟の前だから態度には出さない。
かわいい弟と久々に会えたんだから。

高校生になってだいぶ男らしくなったけどそのかわいさは変わらない。
思春期なのに抱きついたって嫌がらないし。

はあ、最近は昴と腹の探り合いだから癒される。


「背伸びた?」

「1cmだけね。昴兄(すばるにい)にはまだまだ遠いかな」


天邪鬼な昴だって律に微笑まれたら優しく笑ってる。
ほんと、あたしと違っていい子に育ったな。


「ちょっと美優!」


弟との再会を喜んでいると、割って入ってきた母さんの鋭い声。


「何?」

「昴くんにお茶出して。ごめんなさいねせっかく来てくれたのに気が利かなくて」

「母さん自分ですればいいじゃん。なんであたし使うの?」


昔から母さんは昴が絡むと厄介。
昴がいると絶対ケンカになる。だから1人で帰省したかったのに。

腹が立ったから自分の分だけコップにお茶をついでごくごくと飲む。


「姉ちゃんついに昴兄と結婚すんの?」

「ブフッ……!」


ところが、律が変なことを言うものだから盛大に噴き出した。


「うわ、コーヒーじゃなくてよかったね」

「律、そうじゃないでしょ……」

「そっか、なんだ違うんだ」


律はなぜか少しガッカリしてる。
結婚するわけないじゃん、こんな何考えてるか分からない男と。

それともあたしたちって昔からそういう風に思われてたの?
だとしたらそれはそれで嫌だな。
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