偽装結婚の行く末
「じゃあ、昴くんはどうしてここに?」


母さんは声のトーンを上げて昴を見つめる。
人を見て態度変えるなんてやだ。こんなおばさんにはなりたくない。


「美優に事業を手伝ってもらいまして。
お渡ししたそれは美優にお礼を、と渡したものなんですが……それなら律くんの学費に回すと言って聞かないものですから」

「まあ、美優のためにこんなにたくさん?」

「それだけの仕事をしたってことです。
とは言え、その金額を全て律くんのためになんて、よくできた娘さんですよ」


針が刺さったみたいに胸が痛い。
そんな愛想笑いで褒めて欲しくなかった。


「美優もあなたのおかげでずいぶん丸くなった。ありがとね昴くん」


母さんは私に何も言わず昴に笑いかけてばっかり。
今に始まった話じゃないけど、実の娘を蚊帳の外にするのやめてよ。

苦い思い出が蘇って平常心を保てない。
なんとか冷静になるように深呼吸をする。


「……姉ちゃん?」


居心地の悪い空間に母さんと昴の笑い声が響く中、律だけがあたしの異変に気がついていた。
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