偽装結婚の行く末
「美優、俺もう出るけど何かあったら連絡して」

「……はい」

「とりあえず体あっためとけ」


家を出る直前、昴はマグカップを渡してくれた。
匂いからしてココアだ。
弱ってる時にこういう気遣いされると、好きになるからやめてほしい。

すると昴はしゃがんであたしと目線を合わせた。
至近距離に来た昴の綺麗な顔面。
その顔が傾いて、口角が少し上がっていく。


「今日一緒に寝る?」

「え、なんで」

「嫌ならいいけど。昔は俺がいねえと眠れなかったからどうかなと思っただけ」

「さすがにひとりで眠れるし」

「あっそ」


あたしの真似をして家を出た昴。
いつも真似されたら腹立つけど、その時はなぜか可愛いと思った。

はあ、それにしても今日は長い戦いになりそうだ。
昴が入れてくれたココアを飲んでふうと息をついた。
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