偽装結婚の行く末
「改めて言うから忘れんなよ」


真摯な眼差しに思わず姿勢を正す。
すると昴の口が動いて、そして言葉になった。


「美優、ちゃんと夫婦になろう」


そしてゆっくり弧を描く口元。
いつもの意地悪な笑い方じゃなくて、幸せそうに目を細める姿に目頭が熱くなる。


「2ヶ月後に籍入れる設定だったから、そのまま本当に籍入れよう。
式はこれから予約するなら来年になるかもしれねえけど、そこはごめんな」


あたしも昴みたいに笑って了承したいのに、涙が邪魔して全然笑えない。
それどころか嗚咽のせいでうまく声も出せない。


「俺と結婚して」


心のどこかで待ちわびていた言葉。
ずっと、あたしを見てくれる誰かを探してた。

それが昴だなんて思ってもなかったけど。
やっぱり、人生って何が起こるか分からないや。
< 82 / 182 >

この作品をシェア

pagetop