僕らは運命の意味を探していた。
 紗南は少し嬉しそうな表情を見せ、僕が出したボロをすくいあげて、僕に詰め寄って来た。

「バレてたのな。完璧だと思ったんだけど、悔しいよ……。」

「どうして、こんな事をやろうと?」

「言った通りだよ。自殺するのは簡単だけど、その前に出来る限りの事をしてからにしよう、とね。」

 僕は、自分の行動についての本音から、計画までを全て話した。最後に自分の計画の中で、障壁となりえる物を上げた。

「これって、二人の事嫌いにならないと出来ないんだ。」

 僕が感じた一番の壁は、気持ちを作り変える事だった。

 今までの日々、苦難を共に乗り越えた仲間に対して、嫌悪感を抱けるはずがなかった。

「……それが無理だった、と。」

「ああ。どうしても、今までの映像がよぎってな。」

「……やっぱり、あきちゃんの事、整理できない?」

「そう、かな。あいつの事、幼稚園の頃から一番近くで見てきて、知らない事が一つも無いくらいに、近い距離間でずっと接してきたんだ。」

 あきのいない人生なんて、僕には考えられない。いつだってどんな時だって、あきは僕の隣にいてくれた。

「それでも、あきの気持ちには全く気付けなかった。あいつだけじゃない、自分の気持ちにも。」

 昔から、あいつの傍にいてはいけないと思っていた。

 あいつの友達から感じる圧力、僕との立場の差。それ等を感じる度に、心は病んでいき塞ぎこんでしまった。

 それでも、あきは僕と二人の時間を過ごしてくれた。

 冗談を言い合い、勉強に共に励み、二人で時々遊びに行き、彼女はとびきりの笑顔を見せてくれた。

 それは、見ただけで誰もが幸せになるものだった。僕はその表情が好きで堪らなかった。

 昔話をする僕と、真剣に耳を向けてくれる紗南。

 多分だけど、生涯にわたって最初で最後の聞き相手が、紗南と司令官になる気がした。

「今考えたら、僕がいかに愚かだったかがよく分かるよ。」

「クソが付くほど愚かだよ、まったく……。君って本当に一人で抱え込むよね。高校に友達いたんでしょ?」

「それはもう、最高の友が三人‼」

「真道の交友関係狭すぎるでしょ………………。」

「事実でもそれは言うなって……。でも僕は、量じゃなくて質だと思うんだよね。多いからっていいもんじゃないから。」

 紗南は困ったように笑う僕を見て、堪らず噴き出した。

「それさ……、友達いない奴の常套句でしょ。言って寂しくならないの?」

「ならないよ、別に。」

 紗南の目を真っすぐ見て、僕は平然と言った。

「まあ、そうだよね。ここに来て、接してみてさ、とにかく人を大切にするタイプの人間だからね。」

「褒めても何も出ないぞ?」

 僕は、照れ隠しで紗南に言った。
 
 僕には見られ方がよく分からないけど、嫌われるよりはマシだと思った。

「あいつってさ、人から何を言われても、人に対する印象を変えないと思うんだ。だって、こんな僕を好きになるんだから。きっとそうだよ。」

 
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